ChunPom’s diary

数学、物理、機械学習に関する話題。あと院試、資格、大学入試まで。

統計

グレブナー基底は何に使えるか?

名前はよく聞くグレブナー基底、一体何に使えるんだ?ということで、具体的な応用先を並べてみた。グレブナー基底をわかりやく言うと「多項式の集合を、シンプルで性質の良いものに変えた多項式の集合」である。例えば連立方程式を解くときに1文字ずつ変数消…

ルベーグ積分の公式集8:有界変分関数の微分可能性

ルベーグ積分には様々な定理や公式が出てきて理解が追い付かなくなることがよくある。本ブログでは,理解の一助として,基本的な公式をまとめた。内容は随時追加していく予定。 ★有界変分関数の微分可能性 ・単調関数の連続性と有界性 単調関数は有界であり…

ルベーグ積分の公式集7:ラドン-ニコディムの定理

ルベーグ積分には様々な定理や公式が出てきて理解が追い付かなくなることがよくある。本ブログでは,理解の一助として,基本的な公式をまとめた。内容は随時追加していく予定。 ★ラドン-ニコディムの定理 ・変動の定義 可測空間が与えられ,任意のに対して有…

ルベーグ積分の公式集6:積分(フビニの定理)

ルベーグ積分には様々な定理や公式が出てきて理解が追い付かなくなることがよくある。本ブログでは,理解の一助として,基本的な公式をまとめた。内容は随時追加していく予定。 ★フビニの定理 ・直積測度空間 2つの測度空間に対し,任意のの直積を長方形と呼…

ルベーグ積分の公式集5:積分(項別積分)

ルベーグ積分には様々な定理や公式が出てきて理解が追い付かなくなることがよくある。本ブログでは,理解の一助として,基本的な公式をまとめた。内容は随時追加していく予定。 ★項別積分 ・ファトゥの補題 可測集合上の非負可測関数列に対して以下が成り立…

ルベーグ積分の公式集4:積分(定義,基本性質)

ルベーグ積分には様々な定理や公式が出てきて理解が追い付かなくなることがよくある。本ブログでは,理解の一助として,基本的な公式をまとめた。内容は随時追加していく予定。 ★積分 ・積分の定義 測度空間が与えられている時の,上における積分を考える。 …

ルベーグ積分の公式集3:可測関数

ルベーグ積分には様々な定理や公式が出てきて理解が追い付かなくなることがよくある。本ブログでは,理解の一助として,基本的な公式をまとめた。内容は随時追加していく予定。 ★可測関数 ・可測関数の定義 -加法族およびに対し, (1) が任意の実数について…

ルベーグ積分の公式集2:ボレル測度とルベーグ測度

ルベーグ積分には様々な定理や公式が出てきて理解が追い付かなくなることがよくある。本ブログでは,理解の一助として,基本的な公式をまとめた。内容は随時追加していく予定。 ★ボレル測度とルベーグ測度 ・最小の-加法族 集合とその部分集合の族に対して,…

ルベーグ積分の公式集1:可測空間と測度

ルベーグ積分には様々な定理や公式が出てきて理解が追い付かなくなることがよくある。本ブログでは,理解の一助として,基本的な公式をまとめた。内容は随時追加していく予定。 ★可測空間と測度 ・-加法族の定義 集合とその部分集合の族が次の条件を満たすと…

ルベーグ積分の入門書おすすめ

ルベーグ積分の入門的な勉強に適した参考書の紹介です。 統計学や経済学科向け ・統計学への確率論、その先へ (清水泰隆) 数理統計をルベーグ積分の観点から説明した珍しい本であり、ルベーグ積分が必要とされる目的を知る格好の参考書。 普通の数理統計では…

双対標本共分散について

データのばらつきを簡単に評価するには,標本共分散行列を計算するとよいことはみなさんご存じだろう。すなわち、のデータ行列に対して、 ・・・(1) で定義される。上線は標本平均を表す。この行列はであり、データの次元の大きさを持つ行列となる。例えば主…

アクチュアリー数学に合格しました

2018年度のアクチュアリー試験基礎科目の一つ、数学に合格しました!問題分析だけでなく、限られた時間の中でこの試験に合格するための方法を自分なりにまとめようと思います。 ① 問題分析 問題1 ・例年通り基本的な小問集合。 基本的に例年通りのラインナッ…

統計検定自作問題2(数理統計向け)

「平均のポワソン分布に従う確率変数と、自由度の分布に従う確率変数を考える。すなわち、それぞれの確率分布を、とする。以下の問いに答えよ。 (1) を0以上の整数として、 が成り立つことを証明せよ。 (2) を0以上の整数として、が成り立つことを証明せよ。…

統計検定自作問題1(数理統計向け)

「を互いに独立に区間(0,1)上の一様分布に従う確率変数とし、小さい順にとする。以下の問いに答えよ。 (1) に対する確率密度関数を求めよ。 (2) に対する確率密度関数を求めよ。 (3) に対して確率変数の期待値を求めよ。」

統計検定一級合格への道筋

2018年下期の統計検定一級、統計数理と統計応用(理工学)の両方とも無事合格しました!特に統計応用はS評価でした。問題の傾向はいつも通りという感じ。いずれにせよ、一級の対策を自分なりにまとめようと思います。 ① 問題分析 統計数理 ・昔から一貫して確…

参考書紹介(統計学向け)-機械学習、ファイナンスもあるよ

統計学に特化した参考書紹介です。 統計学の基礎的教科書 ・統計学入門 (基礎統計学Ⅰ) もっともbasic。 統計学入門 (基礎統計学?) 作者: 東京大学教養学部統計学教室 出版社/メーカー: 東京大学出版会 発売日: 1991/07/09 メディア: 単行本 購入: 158人 クリ…

ポワソン分布とχ2分布の関係

ポワソン分布と 分布の関係を解説する。 区間推定などの計算上では、ポワソン分布のような「離散分布」は実は扱いにくい。これは、そのままでは積分などの操作が行えないためである。逆に言えば、連続値の分布である 分布などの助けを借りれば、ポワソン分布…

統計検定1級(2018)レポート2 統計応用速報

午後の統計応用終わりました! 計算が少し面倒で、技巧的な計算がいくつかあったので、例年よりやや難しいかなという印象です。詳細は追って解説する予定。 選んだのは1、2、5です。前提知識がなくても実力で解けそうな問題を選んでいます。 第1問は、指…

統計検定1級(2018)レポート1 統計数理速報

午前中の統計数理終わりました! 計算が少し面倒でしたが、例年通りの難易度かなという印象です。詳細は追って解説する予定。 選んだのは1、3、5です。前提知識がなくても実力で解けそうな問題を選んでいます。 第1問は、χ二乗検定に関する問題。ガンマ関…

予測分散と正則化

世の中には多くの分散がある。標本分散、不偏分散、母分散、共分散...。数学的な定義の違い、文脈による呼称の違いなど、統計学の用語はとかく混乱を招きやすい。なまじ身近な数学のため多くの人が多少の知識を持ってしまっているからこそ、逆に言葉の氾濫が…

ベイズ推定と最尤推定の比較

ベイズ推定と最尤推定を比較してみよう。 確率分布が、ある母数パラメータによって記述できるとする。このパラメータを用いて表現された確率分布を、確率モデル(本記事では尤度関数でも差し支えない)と呼ぶ。 最尤推定では、この確率モデルを母数の関数とみ…

モーメント母関数と確率分布の一対一対応(一意性)

2つの確率変数 の確率分布 が等しいことを証明したい。ぞれぞれの確率分布の表式が直接&陽に求めることができるなら話は終わりだが、簡単に求めることが困難な場合も多々ある。このような時数理統計では、それぞれのモーメント母関数を計算し、それが一致す…

意外に難しい条件付き”分散”

条件付き確率は式がシンプルで扱いやすい一方、条件付き分散になると途端に難しくなる。今回は、条件付き分散になれるという目的で、以下の2つの項目について自分なりに説明してみる。 ① 条件付き分散の表式を求める ② 全分散の公式を証明する ① 条件付き分…

統計検定準一級合格への道筋

2018年上期の統計検定準一級、無事合格しました!傾向がガラリと変わってきているので、その対策を自分なりにまとめようと思います。 ① 問題分析 ・機械学習分野の割合増加 統計検定準一級の本来の試験範囲は、機械学習関連はサポートベクターマシンやk-近傍…

最尤推定とその例題

数理統計に置いて、あるパラメータを統計量から推定する方法は色々ある。その中で最も基本となるのが最尤推定である。 最尤推定は、文字通り”最も尤もらしい”ようなパラメータの値を推定値とする手法である。具体的には、観察されるデータ の起こる確率を知…

ベイズ推定の理論の基礎1

ベイズ推定を用いて、データ (n個の測定データ) から、 の従う確率分布を求めることを考える。 真の分布を とし、用いる確率モデルを としよう。ここで はモデルのパラメータである。ベイズ理論により、 に対する事後分布は以下のように書ける。 ここで は事…

移入のある出生死亡モデルからの負の二項分布の導出

移入のある出生死亡モデルから、モデルの均衡を解くことで負の二項分布が導かれることを示す。 人口などの状態を整数 で表し、その増減に対する確率を以下で定義する。 ここで、 は正の定数とし、それぞれ死亡、出生、移入に関する定数である。以下 とおく。…

保険数理におけるガンマ分布

この記事では、ガンマ分布を用いた保険数理の計算例を紹介する。 まず、ガンマ分布はどういう時に現れるのだろうか。 が指数分布 に従っているとする。この時、 はどのような分布に従うだろうか? su-butsu-kikaigakusyuu.hatenablog.com 前の記事によると、…

多次元デルタ関数の導出(備忘録)

次元デルタ関数の求め方の備忘録。 デルタ関数は、以下の性質を持つ関数である。 積分すると1になるため、確率密度関数の一つとしても捉えることができる。すなわち、平均(定義されない場合は中心)の値が0になる軸対象な確率密度関数の極限として、デルタ関…

電流ノイズの導出

これまで紹介してきた確率分布を用いて、いくつかの系の電流のノイズを導出する。 (a) 量子ポイントコンタクト(1チャンネル量子導体+散乱体) ポイントコンタクトに到達した電子は、透過確率 [tex:{\displaystyle T}] で散乱体を透過すると仮定する。コンダ…