電流ノイズの導出
これまで紹介してきた確率分布を用いて、いくつかの系の電流のノイズを導出する。
(a) 量子ポイントコンタクト(1チャンネル量子導体+散乱体)
ポイントコンタクトに到達した電子は、透過確率 [tex:{\displaystyle T}] で散乱体を透過すると仮定する。コンダクタンスを とし、系に のバイアスが印加されているとする。
この時、時間 の間に供給される電子数は とかける。
このうち、 この電子が透過する確率は、
透過電子数に関して、
平均:
分散:
を得る。従って、上記の分散に従った電流の揺らぎが存在する。
(b) Ohm抵抗素子
Ohm抵抗では、電荷移動はポアソン分布に従う。 を適当な正の数として、
よって前の記事の結果から、
抵抗を通過する電子数に関して、
平均:
分散:
を得る。
そこで電流 を用いると、 と求められる。
よって、電流の分散は、
と表せる。ここで、電流を観測する時間 の逆数が現れているが、これは観測のバンド幅に対応する。
ノイズ大きさが電流の平均に比例しているため、ショットノイズであることが分かる。
λxx!