ChunPom’s diary

数学、物理、機械学習に関する話題。あと院試、資格、大学入試まで。

2018-04-01から1ヶ月間の記事一覧

移入のある出生死亡モデルからの負の二項分布の導出

移入のある出生死亡モデルから、モデルの均衡を解くことで負の二項分布が導かれることを示す。 人口などの状態を整数 で表し、その増減に対する確率を以下で定義する。 ここで、 は正の定数とし、それぞれ死亡、出生、移入に関する定数である。以下 とおく。…

ランダウアービュティカー公式によるオーム抵抗の導出

ランダウアービュティカー公式を、古典的な電子輸送に適用し、Ohm抵抗が導かれることを示す。 まず、ランダウアービュティカー公式は、透過確率 の散乱体を持つ、 個のチャネルを有する伝導体における伝導度を求める公式であり、 と書ける。 一方、Ohm抵抗で…

大学入試数学良問3-合同式の利用-

「 の桁数と、1の位の数を求めよ。ただし、 を用いても良い。」 (東大前期1989) 以下、考え方兼略解。考え方のポイントは、 ①合同式による解法、 ②二項展開を利用できるか の2つ。では、略解を記載する。 まずは、桁数を求めよう。 より を得る。よって、200…

保険数理におけるガンマ分布

この記事では、ガンマ分布を用いた保険数理の計算例を紹介する。 まず、ガンマ分布はどういう時に現れるのだろうか。 が指数分布 に従っているとする。この時、 はどのような分布に従うだろうか? su-butsu-kikaigakusyuu.hatenablog.com 前の記事によると、…

強化学習 考え方

強化学習の考えを数式なしでまとめる。 目的 「複数ステップの行動からなるタスクにおいて、1エピソード(試合)で獲得される報酬の和を、最大化するような最適行動を求める」 設定と定義 強化学習で必要となってくる各種設定の定義を列挙する。 ①エージェント…

カーネル法 考え方

カーネル法の考えを数式なしでまとめてみる。 Perspective 1:データ数個のカーネル関数の足し合わせ まず1つの見方としては、カーネル法は、カーネル関数を”基底”とし、学習に使用するデータ数個分のカーネル関数の線形和で、識別/回帰線を表してやろうとい…

多次元デルタ関数の導出(備忘録)

次元デルタ関数の求め方の備忘録。 デルタ関数は、以下の性質を持つ関数である。 積分すると1になるため、確率密度関数の一つとしても捉えることができる。すなわち、平均(定義されない場合は中心)の値が0になる軸対象な確率密度関数の極限として、デルタ関…

解離反応の平衡定数(備忘録)

分子の解離反応の際の平衡定数の求め方の備忘録。 に従って解離を起こす分子 の気体がある。 体積 の容器の中に、各分子が 個ずつ(計 ) あるとした場合の分配関数は、 \begin{eqnarray*} Z(N_A,N_B,N_{AB},V,T)&=&\frac{1}{h^{3N}N_{A}!N_{B}!N_{AB}!}V^{3N}…

非線形推定問題と確率最適制御と量子力学の対応1 -Pathwise-robust方程式-

今回から、「非線形推定問題と確率最適制御と量子力学の対応」について説明する。1回目は、非線形推定問題について説明し、推定方程式たるPathwise-robust方程式を導出する。2回目は、確率最適制御について説明し、Pathwise-robust方程式とベルマン・ハミル…

電流ノイズの導出

これまで紹介してきた確率分布を用いて、いくつかの系の電流のノイズを導出する。 (a) 量子ポイントコンタクト(1チャンネル量子導体+散乱体) ポイントコンタクトに到達した電子は、透過確率 [tex:{\displaystyle T}] で散乱体を透過すると仮定する。コンダ…

特異点解消定理とベイズ推定

昨今、代数幾何の手法をベイズ推定などの統計的学習理論に応用する取り組みがさかんになっている。 その中でも、日本人フィールズ受賞者の広中平祐が証明した特異点解消定理は、最も中心的な橋渡しをしていると言える。 今回は数式なしに、特異点解消定理が…

大学入試数学良問2-エントロピーの上限値-

「 を正の数とし, を満たすとする。このとき、 不等式 を求めよ。」 (東工大前期1990)この問題は、後述するように”エントロピー”に対する不等式に関する問題である。 以下、考え方兼略解。考え方のポイントは、 ①凸関数の構造に気付けるか ②帰納法を選択でき…

色々な確率分布まとめ3-標本に対する分布-

統計学でよく用いられる確率分布の一覧を示す。今回は、標本に対する確率分布を紹介する。 標本に対する確率分布 1 分布 確率変数 は 標準正規分布 に従うとする。この時、2乗和 の従う確率分布は、 と表され、 分布といい、 で表す。これは、ガンマ分布 に…

色々な確率分布まとめ2-連続型-

統計学でよく用いられる確率分布の一覧を示す。今回は、連続値の確率変数に対する確率分布を紹介する。 連続型確率分布 1 連続一様分布 確率変数 は の間の値を等確率でとるとする。この時の確率密度関数は、 \begin{eqnarray*} f(x;a,b)=\frac{\partial}{\p…

色々な確率分布まとめ1-離散型-

統計学でよく用いられる確率分布の一覧を示す。今回は、離散値の確率変数に対する確率分布を紹介する。 離散型確率分布 1 離散一様分布 確率変数 は自然数 の値を等確率でとるとする。この時の確率関数は、 と表され、離散一様分布という。 平均は 、分散は …

1階偏微分方程式の解の種類(完全解、一般解、特殊解、特異解)

2つ以上の独立変数の関数の偏導関数に対する方程式を偏微分方程式と呼ぶ。1階の偏微分方程式においては、以下のように、複数の解の種類が存在する。①完全解②一般解③特殊解④特異解 今回は、ごっちゃになりやすいこれらの解を、区別するよう努めたい。それぞれ…

大学入試数学難問1-区分求積法の活用-

「極限 を求めよ。」 (京大理系後期2003)以下、考え方兼略解。考え方のポイントは、 ①極限なので、 についての最高次を考えれば良い ②式の形から区分求積法を連想できるか の2つ。では、略解を記載する。 まずは、式変形。 \begin{eqnarray*} \sum_{k=1}^{2n…

フォッカープランク方程式の解法2-確率微分方程式-

フォッカープランク方程式には様々な解法のアプローチがある。今回は、良く知られている確率微分方程式による解法を紹介する。 前回リー代数による解法を紹介した際の例と同じ、ドリフトと拡散効果をもつ1次元のブラウン粒子を考える。 su-butsu-kikaigakusy…

フォッカープランク方程式の解法1-リー代数-

フォッカープランク方程式には様々な解法のアプローチがある。今回は、あまり知られていないリー代数による解法を紹介する。 例として、ドリフトと拡散効果をもつ1次元の粒子を考え、速度などの変数 に対する確率分布 が満たすフォッカープランク方程式を と…

イジング模型+ベイズ推定による画像処理

イジング模型は磁性体のスピンの状態(↑、↓)を記述することができる模型である。 特に、隣り合うスピンの相互作用が負になる強磁性体のイジング模型の場合は、スピンが揃い合いたがる性質がある。 この性質を利用したベイズ推定による画像処理法がある。 ベイ…

統計力学の代表的な分布関数

統計力学では、様々な分布関数が出てきて混乱する人も多い。 良く目にするのはミクロカノニカル分布、カノニカル分布とグランドカノニカル分布だが、 他にも 分布などが存在する。それぞれ簡単に区別するならば、ミクロカノニカル分布 エネルギー一定での分…

統計推定量の性質

パラメータ に対する複数の推定量があるときに、どの推定 が”良い”のだろうか。 その基準として、ここでは、不偏性、一致性、有効性を説明する。 それぞれ一言で説明すると、 普遍性:推定量の期待値が、真の値に等しいこと 一致性:推定量が、標本数が大き…

制御と強化学習

友人に「強化学習って何なん?」と尋ねられたので、手法の本質を簡潔に説明できるか考えてみた。 強化学習は、めっちゃ簡単に言うと、 「制御理論の一種で、環境の情報(ハミルトニアンなど)を知らなくても、経験的にそれを獲得し、最適な制御方法を学習する…

参考書紹介(機械学習系) 2018年版

☆機械学習の参考書(2018年版) とりあえず機械学習を使いたい!用の本 ・フリーソフトで始める機械学習入門 遊び向け。 フリーソフトではじめる機械学習入門 作者: 荒木雅弘 出版社/メーカー: 森北出版 発売日: 2014/03/29 メディア: 単行本(ソフトカバー) …

参考書紹介(数理系) 2018年版

☆数学 学部レベルの数学を中心に、オススメの参考書を紹介します。 線形代数 ・線型代数入門 (基礎数学1) 線型代数入門 (基礎数学1) 作者: 齋藤正彦 出版社/メーカー: 東京大学出版会 発売日: 1966/03/31 メディア: 単行本 購入: 4人 クリック: 102回 この商…