ChunPom’s diary

数学、物理、機械学習に関する話題。あと院試、資格、大学入試まで。

大学入試数学良問3-合同式の利用-

 { \displaystyle \frac{10^{210}}{10^{10}+3}} の桁数と、1の位の数を求めよ。ただし、 { \displaystyle 3^{21}=10460353203} を用いても良い。」
(東大前期1989)


以下、考え方兼略解。

考え方のポイントは、
合同式による解法、
②二項展開を利用できるか
の2つ。

では、略解を記載する。
まずは、桁数を求めよう。
 { \displaystyle 10^{10} \lt 10^{10}+3 \lt 10^{11}} より
 { \displaystyle 10^{10} \lt \frac{10^{199}}{10^{10}+3} \lt 10^{200}} を得る。よって、200桁ということがわかる。

1の位はどうか。整数問題で1の位を求める時は、合同式を用いることが多い。なので、①のポイントには皆気づくはず。しかし、この問題は、対象とする式が整数ではなく分数であるため、合同式の適用を難しくしている。
そこで、②のポイントに気付けるかどうかが重要となる。合同式が使えるには、分数を無理くり”小数”の表示にし、整数部分と小数部分を分離する必要がある。
そこで、 { \displaystyle a=10^{10}+3} とおいて、 { \displaystyle a} に関する展開を考える。
\begin{eqnarray*} (題意の式)&=&\frac{(a-3)^{21}}{a}\\
&=&\frac{a^{21}-21\cdot 3\cdot a^{20}+\cdots+21\cdot 3^{20}\cdot a-3^{21}}{a}\\
&=&(a^{20}-21a^{20}+\cdots+21\cdot3^{20})-\frac{3^{21}}{a}.\end{eqnarray*}
2行目では二項展開を用いた。
3行目の一項目に注目すると、 { \displaystyle a=3\ (mod10)} なので、
\begin{eqnarray*} (一項目)&=&3^{20}-21\cdot 3^{20}+\cdots+21\cdot3^{20}\\
&=&3^{20}(1-21+\cdots+21)\\
&=&3^{20}((1-1)^{21}+1)\\
&=&3^{20}\\
&=&(-1)^{10}\\
&=&1\ (mod 10)\\
\end{eqnarray*}
を得る。ここで、3行目では二項展開の逆を用いた。4行目では { \displaystyle 3^2=-1\ (mod10)} を用いた。よって、一項目の1の位は1になる。

次に、二項目を考える。 { \displaystyle 3^{21}=10460353203} を用いると、
\begin{eqnarray*} (二項目)=1.04\cdots\end{eqnarray*}
なので、適当な自然数  { \displaystyle n} を用いれば、
 { \displaystyle \frac{10^{210}}{10^{10}+3}=10n+1-1.04\cdots} となり、1の位は9であることが示された。