解離反応の平衡定数(備忘録)
分子の解離反応の際の平衡定数の求め方の備忘録。
に従って解離を起こす分子 の気体がある。
体積 の容器の中に、各分子が 個ずつ(計 ) あるとした場合の分配関数は、
\begin{eqnarray*} Z(N_A,N_B,N_{AB},V,T)&=&\frac{1}{h^{3N}N_{A}!N_{B}!N_{AB}!}V^{3N}j_A^{N_A}j_B^{N_B}j_{AB}^{N_{AB}}\int e^{-\beta\left(\sum_{1}^{N_A}\frac{p_{i}^2}{2m_A}+\sum_{1}^{N_B}\frac{p_{i}^2}{2m_B}+\sum_{1}^{N_{AB}}\frac{p_{i}^2}{2m_{AB}}\right)} dp_1\cdots dp_{3N}\\&=&\frac{f_{A}^{N_A}f_{B}^{N_B}f_{AB}^{N_{AB}}}{N_{A}!N_{B}!N_{AB}!}\end{eqnarray*}
と表せる。ここで は各分子に対する回転、振動などの内部自由度を表し、 は各分子に対する分配関数とする。
全体の分配関数は、その状態の実現確率に比例する。従って、これに対する最尤推定を行えばよいが、 の各原子の数は保存される必要があるため、以下の拘束条件を満たしておく必要がある。
\begin{eqnarray*} N_A+N_{AB}&=&a(const)\\N_B+N_{AB}&=&b(const)\end{eqnarray*}
すなわち、分配関数の対数尤度にラグランジュの未定乗数項を加えた、
\begin{eqnarray*} N_A \log{f_A}-\log{N_A !}+N_B \log{f_B}-\log{N_B !}+N_{AB} \log{f_{AB}}-\log{N_{AB} !} +\lambda_{A}(N_A+N_{AB}-a)+\lambda_{B}(N_B+N_{AB}-b)\end{eqnarray*}
を最小化すればよい。ここで、各分子数が大きいとして、スターリングの公式
\begin{eqnarray*} \log{N!}\approx N\log{N}-N\end{eqnarray*}
を使用し、上式を各分子数で微分したのち を除去すれば、
の関係を得る。
よって、平衡定数は、
と表せる。
内部自由度に対するエネルギー差を と置き、また解離前後で質量が不変なため を考慮すると、
を得る。