色々な確率分布まとめ1-離散型-
統計学でよく用いられる確率分布の一覧を示す。今回は、離散値の確率変数に対する確率分布を紹介する。
離散型確率分布
1 離散一様分布
確率変数 は自然数 の値を等確率でとるとする。この時の確率関数は、
と表され、離散一様分布という。
平均は 、分散は 。
母関数は
2 ベルヌーイ分布
確率変数 は の2値を、それぞれ の確率で起こるとする。この時の確率関数は、
と表され、ベルヌーイ分布という。また、このような2値が決まった確率で出現する試行をベルヌーイ試行と呼ぶ。
平均は 、分散は 。
母関数は
3 二項分布
確率変数 が独立に同一の上記のベルヌーイ分布に従っている場合に、確率変数の和 の従う確率関数は、
と表され、二項分布という。これを特に と表す。
平均は 、分散は 。
母関数は
となり、ベルヌーイ分布のそれの 乗になっていることがわかる。 すなわち、分布の再生性を有する。
4 幾何分布
無限に続くベルヌーイ試行において、 回目で初めて1が出現する際の の確率関数は
と表され、幾何分布という。
平均は 、分散は 。
母関数は
幾何分布は、無記憶性を持つ。
5 負の二項分布
無限に続くベルヌーイ試行において、 回目で初めて、1が 回出現する際の の確率関数は
と表され、負の二項分布といい、 と表す。
平均は 、分散は 。
母関数は
となり、幾何分布のそれの 乗になっていることがわかる。すなわち、分布の再生性を有する。
6 ポアソン分布
二項分布 において、期待値 を一定値 に保ったまま として得られる確率分布であり、確率関数は
と表され、ポアソン分布といい、 と表す。
平均と分散はともに となり等しい。
母関数は
となり、分布の再生性を有する。
ポアソン分布は、ある離散的な事象に対して、決まった時間内で平均的に 回起こる事象の生起回数の確率を示している。
7 超幾何分布
壺の中に白玉が 個、 黒玉が 個入っているとし、 個を非復元抽出で取り出す。この際、取り出された白玉の個数 の確率関数は、
と表され、超幾何分布という。ここで、 は、通常の組み合わせを、 の際に0となるように拡張したものである。
平均は 、分散は
を一定値 に保ったまま とすれば、二項定理が得られる。
各確率分布の詳細については、以下の教科書を参照されたい。
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