ルベーグ積分の入門書おすすめ
統計学や経済学科向け
・統計学への確率論、その先へ (清水泰隆)
数理統計をルベーグ積分の観点から説明した珍しい本であり、ルベーグ積分が必要とされる目的を知る格好の参考書。
普通の数理統計では「母関数に対する確率分布の一意性」や、「微分と期待値操作の可換性」などが当たり前のように使われているが、本来これらには満たしておくべき十分条件がある。この本では必要最小限度の定理を用いてそういった背景を説明する。統計への応用面を主題にしているため、定理の事細かな証明はないので注意。証明に関しては、最後に紹介するルベーグ積分入門 (伊藤清三)を読もう。
統計学への確率論、その先へ―ゼロからの測度論的理解と漸近理論への架け橋
- 作者: 清水泰隆
- 出版社/メーカー: 内田老鶴圃
- 発売日: 2019/05/01
- メディア: 単行本
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物理学やその他工学科向け
面積の概念からわかりやすく測度や積分の概念を説明し、ルベーグ積分の基本定理を開設する。測度のイメージを培う格好の書。また、関数解析を念頭に置いた記述も多く、工学系にとっての入門書たりえる。
ただ、急ぎ足で若干証明が淡白になっている箇所があるため、詳しい照明は次に紹介するルベーグ積分入門 (伊藤清三)を読もう。
全方位向け
ルベーグ積分の基本定理は網羅されており、証明も詳しくかつ分かりやすい。また、演習問題に解答がちゃんとついている。一見敷居が高そうだが初学者に是非読でほしい必読の書。
余談だが、この本で学んだ事項の演習もかねて、大学院入試問題と解答,ルベーグ積分,服部哲弥のサイトで問題を解きまくるのもgood。ぜひ試してみては。