ルベーグ積分の公式集1:可測空間と測度
ルベーグ積分には様々な定理や公式が出てきて理解が追い付かなくなることがよくある。本ブログでは,理解の一助として,基本的な公式をまとめた。内容は随時追加していく予定。
★可測空間と測度
・-加法族の定義
集合とその部分集合の族が次の条件を満たすとき,を-加法族と呼ぶ。
(1)
(2) ならば
(3) のとき,
を可測空間と呼ぶ。また,完全加法性(3)が有限の和の場合に成り立つときはは有限加法族と呼ばれる。
・測度の定義
-加法族に対する集合関数が次の条件を満たすとき,をで定義された上の測度という。
(1)
(2) が互に素ならば
を測度空間と呼ぶ。また,有限加法族に対して(1)および(2)の有限版の条件が成り立つならば,有限加法的測度と呼ぶ。
・-有限
測度空間に対し,
を満たすような可測集合列が存在するとき,は-有限と呼ぶ。
・測度の連続性
なる集合列に対して,以下が成り立つ。
(1)
(2) ならば
また,が単調増加な集合列とする。あるいは単調減少でとする。このとき,以下が成り立つ。
(3)
・ホップの拡張定理
有限加法族の上の有限加法的測度が,を含む-加法族上の測度に拡張できる必要十分条件は,上での完全加法性が成り立つことである。
ここで拡張とは,に対してとなることを示す。
なお上記の拡張は,なる単調増加な集合列があって,が成り立つとき,一意的となる。