ルベーグ積分の公式集2:ボレル測度とルベーグ測度
ルベーグ積分には様々な定理や公式が出てきて理解が追い付かなくなることがよくある。本ブログでは,理解の一助として,基本的な公式をまとめた。内容は随時追加していく予定。
★ボレル測度とルベーグ測度
・最小の-加法族
集合とその部分集合の族に対して,を含むすべての-加法族の共通部分をとったものを,の生成する(最小の)-加法族と呼ぶ。
・ボレル測度の定義
位相空間が与えられたとすると,位相は集合族であるから,これを含む最小の-加法族を考えることができる。これをボレル-加法族と呼び,で表す。また,上で定義される測度をボレル測度と呼ぶ。
とくに,を実数空間とする場合のものをボレル加法族,ボレル測度とすることもある。
・外測度
集合の全部分集合上で定義された集合関数が以下の(1)-(3)を満たすとき,外測度と呼ぶ。
(1)
(2) ならば
(3)
またが-可測であるとは,すべてのに対し
が成り立つことをいう。-可測な集合すべてからなる族は-加法族であり,外測度をこの族に制限して得られる集合関数は測度となる(カラテオドリの拡張定理)。
・測度を-加法族上の測度へ拡大する
加法族およびその上の測度があるとする。の集合列を用いて,集合関数を定義する。
ここで下限はとなるすべての集合列についてとる。このとき,は上の外測度で,下記が成り立つ。
これにカラテオドリの拡張定理を適用すれば,の生成する-加法族上の測度が得られる。
・完備化とルベーグ測度
測度空間に対し,が測度0の集合のもつすべての部分集合を含んでいるとき,この測度空間を完備であるという。
ボレル測度空間を完備化して得られる測度空間をウィナー空間とよび,このときの測度をルベーグ測度と呼ぶ。