統計検定一級合格への道筋
2018年下期の統計検定一級、統計数理と統計応用(理工学)の両方とも無事合格しました!特に統計応用はS評価でした。問題の傾向はいつも通りという感じ。いずれにせよ、一級の対策を自分なりにまとめようと思います。
① 問題分析
統計数理
・昔から一貫して確率分布の扱い、各種推定、統計の基本定理を扱う
統計数理ではあまりニッチな問題や複雑すぎる統計量の計算に関する出題はほぼ無いと言って良い。これは、記述式の一級試験では手計算が困難になってしまうためである。そのため、昔ながらの統計数理の問題しか出題されない。具体的には、確率分布そのものや、最尤推定などの各種推定、チェビシェフ、中心極限定理、ネイマンピアソンなどの基本定理を中心に出題される。積分や極限、漸近性の評価など、数学のしっかりとした基礎があればすんなり解けるはず。機械学習の出題はこれまで無いが、カーネル法くらいは出題されるかも。
統計応用
・範回帰分析、ベイズ推定、実験計画、時系列解析、寿命、不良品、クレームのモデリングなど、出題範囲が広い
統計応用は、統計数理に比べると出題範囲が広い。実際の数値データを扱うことが多いので、それらの取り扱いに十分に慣れている必要がある。主成分分析などは十分出る可能性があるが、機械学習の出題はこれからもほぼ無いだろう。これは、実データが入って来ると手計算がほぼ不可能になるためである。
② 対策
統計数理
A: 最優先は確率分布の取り扱いになれること
B: 次に、重要定理を全て完璧に覚え、使いこなす
C: 統計検定の過去問をひたすら解く(アクチュアリー数学も使える)
D: 追加で必要な数学力の向上
・Aの参考書
・Bの参考書
- 作者: 二宮嘉行,大西俊郎,小林景,椎名洋,笛田薫,田中研太郎,岡田謙介,大屋幸輔,廣瀬英雄,折笠秀樹,日本統計学会,竹村彰通,岩崎学
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・Cの参考書
日本統計学会公式認定 統計検定 1級・準1級 公式問題集[2016〜2017年]
- 作者: 日本統計学会
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以下のアクチュアリー数学の第2もしくは3問も参考になる(しかも無料!)。
・Dの参考書
ガンマ関数などの特殊関数、スターリングの公式などの漸近評価
統計応用(理工学)
A: 統計数理対策A&Bを実施
B: 頻出分野(回帰、時系列、寿命と故障のモデル)を抑える
C: 統計検定の過去問をひたすら解く(アクチュアリー数学も使える)
D: 理工学以外の統計応用分野の問題をとく
・Bの参考書
- 作者: 二宮嘉行,大西俊郎,小林景,椎名洋,笛田薫,田中研太郎,岡田謙介,大屋幸輔,廣瀬英雄,折笠秀樹,日本統計学会,竹村彰通,岩崎学
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・C、Dの参考書
日本統計学会公式認定 統計検定 1級・準1級 公式問題集[2016〜2017年]
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以下のアクチュアリー数学の第1問(小問集合)が参考になる(しかも無料!)。ただし、関連しそうな問題のみで良い。
③ 準一級との対応
一級(統計数理、統計応用)の過去問を見る限り、機械学習の出題の実績はない。一級は記述や計算が多いため、複雑な手法は出にくいからである。従って、準一級はニッチな統計手法や機械学習なども出題されるため、さほど両者の互換性は無い。ただし、準一級に合格するまでに上記の問題集をやりこむため、結果として一級を受けるための土壌が醸成され得る。
④ 試験当日について
・受験番号を問題用紙に記載
→あとあと受験番号を参照するため
・問題は、最後の小問をみて解けそうだと思えるものを選択すべし
→途中で力尽きるリスクの少ない問題を選択。判定法は、「知らないワード」が問題文にあるかどうかである。なるべく知識がなくても解ける問題に取り組むのが良い。
・経験的に、シンプルな問題は楽なことが多い