2019東大入試数学(理系)問題と講評
2019年の東大数学の問題を掲載する。
問題の難易度としては、
第一問:易、第二問:易、第三問:やや易、第四問:標準、第五問:やや難、第六問:やや難。
第一問は、展開して積分するだけ。ただし、工夫できそうな「思わせぶりな」式の形をしているので、解き方に苦慮しやすく、嵌まる危険があるので注意。東大で定積分自体が出題されたのはかなりレアである。
第二問は、変数の定義域に注意すれば、全く難しくない。落とせない問題。
第三問は、冷静に(1)の平面図が利用できれば難しくはない。(3)がやや手抜きな設問という印象で、面白みがないただの計算。試験中に冷静さを欠くと嵌る危険が高い。
第四問は、適度な論理力が試される良問だが、標準的な問題。(1)はサービスで、(2)はおきまりの背理法。が平方数にならないことから、簡単に証明できる。落とせない問題。
第五問は、問題自体に必要な論理力は高くないものの、技巧的な変形が必要な箇所があることや、収束点の図形的解釈が困難であるため、やや難しい。最後の設問は、明らかに「微分係数の定義使ってください」という形になっている。差が出そうな問題。
第六問は、実数係数の多項式における複素数解は必ず共役なペアを伴うことを利用し、条件をシンプルに見極めることが重要。
全体としては、丁寧な誘導が付いているため部分点が取りやすいセットになっている。必要な論理力はさほど高くないが、意外に解きにくい問題が多い。これの原因は小手先の技術やハッタリによるもので、個人的にはあまり深みのない試験だったという印象。