ルベーグ積分の公式集8:有界変分関数の微分可能性
ルベーグ積分には様々な定理や公式が出てきて理解が追い付かなくなることがよくある。本ブログでは,理解の一助として,基本的な公式をまとめた。内容は随時追加していく予定。
・単調関数の連続性と有界性
・有界変分関数は単調非減少関数の差
有界変分関数は,2つの単調非減少関数の差として表される。一例がである。
・ヴィタリの被覆定理
かつ,がは区間の集合とする。任意のに対して
(1) かつ
を満たす区間が存在するとき,はをヴィタリの意味で被覆するという。ここではルベーグ測度を表す。
また,から構成される外測度に対して-測度有限な集合を,区間の集合が被覆するとする。このとき,
(2)
なる有限個の区間列が存在する。
ルベーグ積分の公式集7:ラドン-ニコディムの定理
ルベーグ積分には様々な定理や公式が出てきて理解が追い付かなくなることがよくある。本ブログでは,理解の一助として,基本的な公式をまとめた。内容は随時追加していく予定。
★ラドン-ニコディムの定理
・変動の定義
可測空間が与えられ,任意のに対して有限の実数値をとる集合関数が完全加法性を満たすとき,上の加法的集合関数と呼ぶ。ただし,測度とは違い負値も取りうる。なお測度と同じように,公式集1の連続性の各性質を満たす。このとき,
をそれぞれ上変動,下変動,全変動と定義する。なお,が成り立つ。
・ジョルダン分解とハーン分解
・絶対連続の定義
測度空間に対する加法的集合関数を考える。これが測度に対して絶対連続であるとは,なるすべてのに対してとなることである。
がある
また特異であるとは,なるある集合が存在し,に対してとなることをいう。
・ラドン-ニコディムの定理
ルベーグ積分の公式集6:積分(フビニの定理)
ルベーグ積分には様々な定理や公式が出てきて理解が追い付かなくなることがよくある。本ブログでは,理解の一助として,基本的な公式をまとめた。内容は随時追加していく予定。
★フビニの定理
・直積測度空間
2つの測度空間に対し,任意のの直積を長方形と呼ぶ。互いに素な長方形の合併
で表される集合全体の族をとする。に対する集合関数を
で定義すると,は上の測度となる。公式集2の測度の拡大の手続きにより,はの生成する-加法族の測度に拡大できる。こうして得られる測度空間を直積測度空間と呼ぶ。
・切り口
2つの可測空間,直積空間上の可測関数があるとする。このとき,任意のに対し関数はの関数として可測関数となる。
また,が-有限な測度空間で,直積空間上の非負可測関数をとするとき,関数は可測関数となる。
・フビニの定理
ルベーグ積分の公式集4:積分(定義,基本性質)
ルベーグ積分には様々な定理や公式が出てきて理解が追い付かなくなることがよくある。本ブログでは,理解の一助として,基本的な公式をまとめた。内容は随時追加していく予定。
★積分
・積分の定義
測度空間が与えられている時の,上における積分を考える。
(1) が非負関数の場合,単調増加な収束列を用いて
(2) 一般の場合,として
とそれぞれ定義する。(2)では右辺のそれぞれの積分は(1)を用いて得られる。なお,のいずれか一方が有限な場合にのみ(2)は定義される。積分値が有限の時,積分可能であるという。
・積分の基本性質(忘れやすいもののみ)
・(第一)平均値の定理
ルベーグ積分の公式集3:可測関数
ルベーグ積分の公式集2:ボレル測度とルベーグ測度
ルベーグ積分には様々な定理や公式が出てきて理解が追い付かなくなることがよくある。本ブログでは,理解の一助として,基本的な公式をまとめた。内容は随時追加していく予定。
★ボレル測度とルベーグ測度
・最小の-加法族
集合とその部分集合の族に対して,を含むすべての-加法族の共通部分をとったものを,の生成する(最小の)-加法族と呼ぶ。
・ボレル測度の定義
位相空間が与えられたとすると,位相は集合族であるから,これを含む最小の-加法族を考えることができる。これをボレル-加法族と呼び,で表す。また,上で定義される測度をボレル測度と呼ぶ。
とくに,を実数空間とする場合のものをボレル加法族,ボレル測度とすることもある。
・外測度
集合の全部分集合上で定義された集合関数が以下の(1)-(3)を満たすとき,外測度と呼ぶ。
(1)
(2) ならば
(3)
またが-可測であるとは,すべてのに対し
が成り立つことをいう。-可測な集合すべてからなる族は-加法族であり,外測度をこの族に制限して得られる集合関数は測度となる(カラテオドリの拡張定理)。
・測度を-加法族上の測度へ拡大する
加法族およびその上の測度があるとする。の集合列を用いて,集合関数を定義する。
ここで下限はとなるすべての集合列についてとる。このとき,は上の外測度で,下記が成り立つ。
これにカラテオドリの拡張定理を適用すれば,の生成する-加法族上の測度が得られる。
・完備化とルベーグ測度
測度空間に対し,が測度0の集合のもつすべての部分集合を含んでいるとき,この測度空間を完備であるという。
ボレル測度空間を完備化して得られる測度空間をウィナー空間とよび,このときの測度をルベーグ測度と呼ぶ。