ChunPom’s diary

数学、物理、機械学習に関する話題。あと院試、資格、大学入試まで。

エルミート多項式、ラゲール多項式を高校数学で-

エルミート多項式、ラゲール多項式を高校数学の範囲で理解するために作成した問題を紹介する。

 

①エルミート多項式に関するエクササイズ

 { \displaystyle H_{n+2}(x)=2xH_{n+1}(x)-2(n+1)H_n(x)} を満たす  { \displaystyle x} についての関数列  { \displaystyle H_{n}(x)} がある。 { \displaystyle H_{1}(x)=1, H_{1}(x)=2x} のとき、以下の問いに答えよ。

(1)  { \displaystyle H_{n}(x)} { \displaystyle n} 次の多項式であり、最高次の係数は  { \displaystyle 2^n} であることを示せ。また、 { \displaystyle n} と異なる偶奇の次元の項が含まれないを示せ。 

(2) (1)の結果より、 { \displaystyle H_{n}(x)=\sum_{m=0}^{[n/2]}a_{n-2m}x^{n-2m}}  と表せる。このとき、各項の係数は  { \displaystyle a_{n-2m}=\frac{n!(-1)^m}{m!(n-2m)!}2^{n-2m}} となることを示せ。 ここで、 { \displaystyle [x]} { \displaystyle x} を超えない整数とする。

(3)  { \displaystyle \frac{d^n}{dx^n}e^{-x^2}=(-1)^n e^{-x^2}H_{n}(x)} と表せることを示せ。

 

ポイントはひたすら帰納法。かなり複雑だが、辛抱強く帰納法を使用すれば証明できる。

 

ちなみに、 { \displaystyle H_{n}(x} をエルミート多項式(特殊関数の一つ)と呼び、量子化された調和振動子波動関数の厳密解になっていたりする。エルミート多項式はエルミートの微分方程式と呼ばれる2階微分方程式( { \displaystyle H_{n+2}(x)=2xH_{n+1}(x)-2(n+1)H_n(x)} を変形したもの)の解として知られており、同方程式は調和振動子シュレディンガー方程式から導かれるためである。ちなみに(3)の結果はロドリグの公式として知られる。

大学数学では、母関数と呼ばれるものを用いてより簡便に導出することができる。

 

②ラゲール多項式に関するエクササイズ 

 { \displaystyle L_{n+2}(x)=(2n+3-x)L_{n+1}(x)-n^2L_n(x)} を満たす  { \displaystyle x} についての関数列  { \displaystyle L_{n}(x)} がある。 { \displaystyle L_{1}(x)=1, L_{1}(x)=-x+1} のとき、以下の問いに答えよ。

(1)  { \displaystyle L_{n}(x)} { \displaystyle n} 次の多項式であり、最高次の係数は  { \displaystyle (-1)^n} であることを示せ。

(2) (1)の結果より、 { \displaystyle L_{n}(x)=\sum_{k=0}^{n}a_{k}x^{k}}  と表せる。このとき、各項の係数は  { \displaystyle a_{k}=\frac{(-1)^k(n!)^2}{(k!)^2(n-m)!}} となることを示せ。 

(3)  { \displaystyle \sum_{k=0}^{n}\frac{d^k L_{n}(0)}{dx^k}} を求めよ。

 

ポイントは前問同様ひたすら帰納法。かなり複雑だが、辛抱強く帰納法を使用すれば証明できる。(3)では、式をまとめた後、二項定理を使えば良い。

 

ちなみに、 { \displaystyle L_{n}(x)} をラゲール多項式と呼び、水素原子のような、球対称のポテンシャル(力を生み出す場の総称。例えば、重力に対する位置エネルギーや、復元力に対するバネが蓄えるエネルギーなど)下におけるシュレデインガー方程式の解を表す場合がある。